「おはよ−。」
毎日あの人のこの声を聞くだけでとても幸せになれる。でも俺には後ろを振り向いて返事をする勇気はもちあわせてなかった。ただただきいてるだけなのだ。

 「あれ?すごいね!音楽室からもってきたの?」友達があのひとに問い掛けた。

 「ううん、うちから」

 「え!?これうちからもってきたの!?」

 いったい何を持ってきたのだろうか。あとで振りかえるとそこには立派な電子ピアノが置いてあった。そうえばもうすぐ合唱コンクールだ。

 弾いてみたいな。と思った。物理の時間にあの人からピアノのレッスンを受けてる俺を妄想してしまった。悪くはなかった。

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